ドラえもん最終回 (No.1)



のび太の決意!



あれから、数年後...。

のび太の何か大きく謎めいた魅力、そしてとても力強い意志、どこか淋しげな目、 眼鏡をさわるしぐさ、 黄色のシャツと紺色の短パン、しずかちゃんが惚れるのに時間は要りませんでした。 外国留学から帰国した青年のび太は、最先端の技術をもつ企業に就職し、 そしてまた、めでたくしずかちゃんと結婚しました。

そして、それはそれはとても暖かな家庭を築いていきました。 ドラミちゃんが去ってから、のび太はドラえもんは未来に帰ったとみんなに告げていました。 そしていつしか、誰も「ドラえもん」のことは口にしなくなっていました。

しかし、のび太の家の押入には「ドラえもん」が眠っています。 あの時のまま・・・。

のび太は技術者として、今、「ドラえもん」の前にいるのです。 小学生の頃、成績が悪かったのび太ですが、彼なりに必死に勉強しました。 そして中学、高校、大学と進学し、かつ確実に力をつけていきました。

企業でも順調に、ある程度の成功もしました。 そしてもっとも権威のある大学に招かれるチャンスがあり、のび太はそれを見事にパスしていきます。 そうです、「ドラえもん」を治したい、その一心でした。

人間とはある時突然変わるものなのです。 それがのび太にとっては「ドラえもんの電池切れ」だったのです。 修理が可能であるならば、それが小学6年生ののび太の原動力となったようでした。

自宅の研究室にて...。

あれからどれくらいの時間が経ったのでしょう。 しずかちゃんが研究室に呼ばれました。絶対に入ることを禁じていた研究室でした。 中に入ると夫であるのび太は微笑んでいました。

そして机の上にあるそれをみて、しずかちゃんは言いました。 『ドラちゃん...?』 のび太は言いました。 『しずか、こっちに来てごらん、今、ドラえもんのスイッチを入れるから』 頬をつたうひとすじの涙...。

しずかちゃんはだまって、のび太の顔を見ています。 この瞬間のため、まさにこのためにのび太は技術者になったのでした。 なぜだか失敗の不安はありませんでした。

こんなに落ち着いているのが変だと思うくらいのび太は、静かに、静かに、そして丁寧に・・・・ 何かを確認するようにスイッチを入れました。 ほんの少しの静寂の後、長い長い時が繋がりました。

『のび太くん、宿題は済んだのかい?』 ドラえもんの設計者が謎であった理由が、明らかになった瞬間でもありました。 あの時と同じように、空には白い雲が浮かんでいました。


<完>



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